(題名:Continuous Online Fourier Transform Infrared(FT-IR) Spectrometry
Analysis of Hydrogen Chloride (HCL), Carbon Dioxide (CO2), and Water
(H2O) in Nitrogen-Rich and Ethylene-Rich Streams)
著者:Serena Stephensen, Maria Pollard, and Kipchirchir Boit
出典:Applied Spectroscopy No9, Vol. 67 (2013)
【抄録】分光分析技術が化学/石油化学工業において状態変化を連続的に監視できる能力があることは既に証明され、連続プロセスに応用されるOn-lineの分光分析技術例はこの2, 30
年で急激に増えている。製造プラントではしばしば製品の構成やバラツキを抑えることが出来ないで、何がプラントで起こっているかを知る必要がある。この現象を完全に理解しないで対策をすると時間のロスや品質の低下につながる。フーリエ変換赤外分光分析計(FTIR)を使用する分光分析技術は、プラントで起こる事象を正確に理解するためのキー技術である。従来、ガス検知管が使用されてきた。しかし価格は安いが連続測定不可で再現性が低く多成分測定が出来ないという欠点があった。この論文では窒素ガスとエチレンガスを主成分とする工程でのppmレベルの塩酸、炭酸ガス、水分の連続測定について述べている。
エチレンは赤外に強い吸収があり、HCl,CO2,H2Oを定量測定するための新しい手法を開発する必要がある。FTIRと約5mのガスセルを用いて、波数範囲1800~5000cm-1を1cm-1の分解能で測定した。エチレンリッチ、窒素リッチそれぞれの流路での予測測定能力は以下:
窒素リッチ流路 エチレンリッチ流路
CO2 ±0.5ppm ±0.5ppm
H2O ±1.1ppm ±1.3ppm
HCl ±1.0ppm ±2.4ppm
定量分析に用いられる検量線は、CLS(Classical Least Square)
で作成された。On-line監視技術は、プロセスの精密な制御と安全監視のために有効である。
【読後感】
分光分析機器が実際に私企業の工業用プロセスに使用された例が論文等で出ることは少ない。企業秘密が多い(?)ためか、その利用方法、具体的なシステム構成等が書かれている例は少ない。この論文には具体的システム構成、3日間、4日間の連続測定例が示されている。