2013年10月30日水曜日

<展示会見て歩記>(7);アグリビジネス創出フェア


アグリビジネス創出フェア
2013年10月25日 (10/2310/25 開催) 場所: 東京ビックサイト

【展示会概要】
産学の各機関が農林水産食品分野に関する最新の技術を持ち寄り交流することを通じ、新たなビジネスを創造するための技術交流・展示会(主催者の林農林大臣挨拶より)であるアグリビジネス創出フェアに行ってきた。併設展示にアグロイノベーション2013(農業園芸生産技術展、青果物流通加工技術展の合同展示)があった。農業・食品にはかなり多くの分光分析機器(例えば、果物、砂糖きびの糖度測定、お米の食味等)が使用され、農産物、食品のスペクトルが測定されているので、このような展示会で何か新しい応用、発表はないか?というのが参加の動機だ。
アグリビジネス創出は大学、国公立研究機関、企業、NPO法人等170の出展、。一方アグロイノベーションは約100社の展示でやや規模が小さい。研究機関の展示が多いのはアグリビジネス創出だが、スペクトルの測定事例はそれほど多くない。品種改良のためのDNA解析、操作の研究、人工栽培のためのLED照明とその効果・効率upといった研究が多い。その中でも近赤外線スペクトルによって土壌・堆肥の成分分析を行う装置、レタス・ホウレンソウの葉っぱのスペクトル<可視(0.4μm)から近赤外域(1.1μm)>を測定しケモメトリックス(多変量解析の1種、スペクトルの解析、定量分析のために頻繁に使用される。)結果から野菜中の硝酸濃度を測定する発表があった。又直接スペクトルの測定は行っていないが、メタボローム解析にケモメトリックスが使用された例も見られ、スペクトル以外の大量のデータ解析にケモメトリックスが有効であることが認識されて来たようだ。

2013年10月14日月曜日

<スペクトルあれこれ>(4) 10月2日の虹


102日の夕方、空にきれいな虹が見えた。良く見ると2つの虹が見える。はっきりと見えたのは下側の虹で、
上側の虹はうっすらとしている。2つ見えたのはわずかな時間で、私が見た10分後くらいには、一つしか見えなかったようだ。虹が雨滴の屈折率の差により太陽光が分光されたスペクトルだという話は、前に掲載した。
しかし今回2つの虹が見えた(下の虹を主虹、上の虹を副虹と呼ぶらしい)。もっと良く見ると下の虹では、下から紫⇒青⇒緑⇒赤の順に並んでいるのに、上の虹では順序が逆(赤⇒緑⇒青⇒紫)になっている。赤はともかく紫が本当に出ているかは少し疑わしいけれど教科書的にはこの順序だ。
この日の虹の写真は幾つかのWebに掲載されているので、見てみるといいと思う。

何故二つの虹が出来、順序が逆転するのだろう?数ヶ月前にたまたま読んだ本に、このことが記載されているのを思い出し披露することにした。
Ar4-2に、雨滴内で反射する回数が1回と2回の光線が示されている。雨滴中で2回反射した光線から出来る虹が副虹、1回反射の光線で出来る虹が主虹だ。副虹が弱いのは水滴中を通る光路が主虹に比べ長く光の減衰が大きいからだろう。古くから虹の研究はされていて、デカルト、ニュートン等も主虹、副虹の構成について研究しているそうだ。ともあれ台風が過ぎ去った空に出た虹は、なんとなく心を落ち着かせ、気持ちをおおらかにさせてくれた。
(虹の話と図は光の百科事典 谷田貝豊彦編丸善出版を参考にした。)