(題名:Pretreatment of near infrared spectra data in fast biomass analysis)
著者:l. Liu, X. P. Ye, A. M. Saxton, and A. Womac
出典:J.Near Infrared Spectrsc 18, 317-331 (2010)
【抄録】
植物の木質部は隠れた新エネルギー源。バイオマス工業はバイオマス原料を効率的にバイオ燃料等に変換しなければならないので、バイオマス原料中の化学成分を迅速に分析することは重要な課題。近赤外分光分析は、バイオマス原料の成分分析に適している。バイオマス原料のスペクトルから成分情報を取りだすために有効なスペクトルの前処理方法を検討した。異物、サンプル粒径、かさ密度、水分含量の影響等によるスペクトルのバラツキの影響を抑えるために前処理を行うことは、スペクトルデータと化学成分の良い相関を取るために重要である。サンプルはスイッチンググラス(イネ科の雑草)36種類とCorn Stover(トウモロコシの茎など)35種類(いずれも粉で粒径、採取場所等が異なる)。
前処理として、1次微分、2次微分、MSC、SNV、EMSCをそれぞれのスペクトルデータに施しグルカン、キシラン、リグニン、灰分の検量線を作成し、検量線作成用とは異なるスペクトルデータにあてはめ予測値を得て、前処理の効果を調べた。最も効果的だったのは、EMSCであった。灰分などの無機質によるスペクトルの影響をEMSCが有効に取り除けたため。
測定対象:
グルカン……天然に最も多く存在する多糖類(Dグルコースを基にしたポリマー)
キシラン……分子式(C5H8O4)n の炭水化物(多糖類)
リグニン……高分子のフェノール性化合物(木質素)
前処理方法:
MSC……Multiplicative scattering correction(多重散乱補正)
SNV……Standard Normal Variate(標準正規変数)
EMSC……Extended Multiplicative scattering correction (拡張多重散乱補正)
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