2015年8月1日土曜日

<文献検索から>(15)3成分混合物のテラヘルツスペクトルの定量分析へのケモメトリックスの応用


(題名:Chemometrics Applied to Quantitative Analysis of Ternary Mixtures by Terahertz Spectroscopy
著者:J. E. Haddad, F. de Miollis, J. B. Sleiman, L. Canioni, P. Mounaix, and B. Bousquet
出典:Analytical Chemistry, Vol. 88, P4927-4933 
【抄録】
テラヘルツ(T-Hz)波は0.310THz(波長1mm30μm)の電磁波(1THz=1012Hz)である。T-Hz波が持つ低エネルギーの相互作用と色々な物質に伝わる能力はサンプルの誘電体性質を評価することが出来、遠赤外とラマン分光を補完し理解するために効果的である。さらにT-Hz分光技術は分子内、分子間モード等の振動モードの解析のために強力なツールである。T-Hz分光は従来の遠赤外とは異なり、一般的にT-Hzの応答は周囲の分子の集合的な動きに結合するので分子間の多形、光学異性体を判別できる。
T-Hz波の相互作用は非接触で工業における品質制御に適用可能であり、生物学的物質の判別、医用診断にも有用である。さらにT-Hzイメージング、T-Hzリモートセンシングは危険な違法物質を検知することも出来る。
クエン酸、D-果糖、α-乳糖を色々な濃度に混ぜて、ポリエチレンをバインダーとしてプレスして錠剤を作成した。錠剤は400mg320mgがバインダーのポリエチレン残りの80mg3成分が混合されている。透過型T-Hz時間領域分光器によって測定された果糖、乳糖、クエン酸のスペクトルにケモメトリックスを適用した。PCAにより3成分のスペクトルはきれいに分離できた。ANNArtificial Neuron Network 人工知能回路)がPLSの結果と比較するために適用された。果糖、乳糖、クエン酸は、PLSANNそれぞれの濃度測定で0.9%以下のRMSERoot Mean Square Error)を得た。透過T-Hzスペクトルを取り扱うためにケモメトリックスを使うことが出来ることを示した。ケモメトリックスは、T-Hz領域でも工業用アプリケーションの新しいツールであり、T-Hz分光のアプリケーション開発や検量線の変換においてより大きな役割を果たすだろう。