2015年12月27日日曜日

<スペクトルあれこれ>(11)水と水蒸気のスペクトル

水と水蒸気はいたるところに存在し生命の源のひとつだが、分光分析を行うときにはしばしば有用な情報を持つスペクトルの吸収域と重なり、外乱の要因になる。水と水蒸気のスペクトルに関しては多くの研究結果が古くから発表されている。ここでは水蒸気と水のスペクトルを近赤外(120004000cm-1(12.5μm))と赤外(4000400cm-1(2.525μm))の内100001200cm-1(1~8.3μm)の領域を概観してみたい。

Ar11-1, Ar11-2に光路長約40cm、濃度約400ppmの水蒸気スペクトルを示す。図Ar11-1は赤外域、図Ar11-2 は近赤外域を示す。赤外域では主に調和振動が、近赤外域では非調和振動が観測され近赤外域の吸収は結合音になる。<調和性と非調和性については“スペクトルあれこれ(6)を参照>
水分子は非直線状の構造のために対称伸縮(3652cm-1)ν1、非対称伸縮(3756cm-1)ν3、変角振動(1595cm-1)ν2により赤外光を吸収する(図Ar11-3)。気体の場合は回転運動による吸収もある。回転運動による吸収のため気体のスペクトルは、図Ar11-1,11-2に示すようにほぼ等間隔の鋭い吸収ピークを持つ。そのため、これらのスペクトルは振動回転スペクトルと呼ばれる。図Ar11-1の左側は、対称伸縮と非対称伸縮に回転スペクトルが重なり複雑なので、振動モードがひとつしかない変角振動に注目してみる。(図Ar11-4

 ピークは大きく左右に分かれているが、これは回転順位に依存する。低波数側をP枝、高波数側をR枝と呼ぶ。図Ar11-52原子分子の振動回転スペクトルの例を示した。水蒸気のスペクトルは非調和性があり又3原子分子で回転モードが3つ(図Ar11-6)あるために、図Ar11-5のように簡単にはならない。
 
Ar11-7Ar11-8に、水のスペクトルを示す。液体では回転モードは存在せず、対称伸縮(ν1)、非対称伸縮(ν3)、変角振動(ν2)のみだが、常温常圧の気体ではほとんど問題にならない水素結合(図Ar11-9)が大きな影響を持つ。




2015年11月1日日曜日

<文献検索から>(17)近赤外分光を用いた液状の純粋エチレングリコールとエチレングリコール水の混合液の分子構造と水素結合の研究


(題名:Molecular structure and hydrogen bonding in pure liquid ethylene glycol and ethylene glycol;-water mixtures studied using NIR spectroscopy
著者:Y. Chen, Y. Ozaki, and M. A. Czarnecki
出典:Phys. Chem. Chem. Phys., Sept. Vol.15 No.42, P18694 18701, 2013

【抄録】
エチレングリコール(EG)と水の混合液はEGがかなり低い温度でもガラス状態を形成し0℃以下でも氷の結晶化を防ぐ。そのためEGは最も重要な抗凍結剤で広い分野で使用されている。水素結合についてはまだ議論の余地があり、EGは又分子間、分子内水素結合を研究するためのモデルである。17B-1は分子内結合の有無を示している。

          

EGEG・水の混合液の分子構造と水素結合について、近赤外スペクトルを2次元相関とMoving Window2次元相関、ケモメトリックスを使用して解析した。
主成分分析(PCA)は水-EG混合液のスペクトルに濃度に依存する3つの独立した要素があることを示した。
2次元相関を用いた解析では、純粋な液状態のEGの分子は分子間水素結合を持っているが、分子内水素結合は観測できなかった。CH伸縮振動のわずかな変動は純粋液状EGと水との混合液の構造がOHグループの分子間結合によって決定されていることを示した。水の非対称伸縮と変角の結合音の解析はEGリッチの溶液において水分子が、二つのEG分子と主に結合しこの水との水素結合はバルクの水の結合よりも強いことを明らかにした。
Moving window2次元相関解析はフリーと会合したOHグループの変化では、パターンが異なり、フリーのOHグループのスペクトル変化は40℃で最大になり会合したOHでは50℃になっていることを示した。温度の異なるEG-水混合液のスペクトル変化から水―水 水素結合は温度上昇に伴いEG-水の水素結合より早く弱くなることがわかった。水とプロパンジオール、脂肪族アルコールの混合液からは、水とジオールまたはアルコールとの相互作用は、水-水間の相互作用より強いことが明らかになった。
さらに水を加えるとEGOHグループの周りに小さな水のクラスターを形成する。これらのクラスターの大きさはEGの濃度に依存し、EG濃度が低くなると水のクラスターサイズは大きくなる。今回の結果と従来報告されている他の有機溶媒と水との混合液に比べてみると、水の2成分混合液では水と極性基の総量と分布が有機相における水の溶解性を決める重要なファクターであるという結論になった。液相における官能基の分布は分子の疎水性部分の大きさと構造に依存する。これらの官能基がより均一に分布すると有機相における水の溶解度はより多くなる。
 


 

2015年9月16日水曜日

<文献検索から>(16)乾性油の判別を改良するためにFT-NIRとラマンのスペクトルを結合した多変量解析


(題名:Multivariate Analysis of Combined Fourier Transform Nera-Infrared Spectroscopy(FT-NIR) and Raman Datasets for Improved Discrimination of Drying Oils
著者:S. Carlesi, M. Ricci, C. Cucci, J. La Nasa, C. Lofrumento, M. Picollo, M. Becucci
出典:Applied Spectroscopy, Vol. 69, No7, 2015, P865-875
【抄録】
<はじめに>
サンプルの消費が比較的大きい、実験時間が長い、サンプルの調合が複雑等、経時変化するサンプルの解析には明らかに問題があるにもかかわらず、ガスクロ、電気泳動、LC等の分離分析、質量分析、ハイフネット技法は有機物の解析に良く用いられている。振動分光法(赤外(IR, Raman等)は前術のような問題が少なく、又IRRamanは相補的な分光学的技術と言われているが、定量的な解析にたいしては二つを結びつけたアプリケーションは必ずしも効果的な結果になっていない。この論文では油絵のバインダー(乾性油)をサンプルとして、Ramanと近赤外(Near InfraredNIR)の1次微分スペクトルを結合し主成分分析(PCA)を適用した場合について調べた。目的は同じ有機分類に属する化合物間での識別能力を増やすことである。油絵の具のバインダーは種々の脂肪酸が濃縮されたトリグリセリドと少量のステロールやビタミンのような他の成分からなる。異なるバインダーの差はほとんど相対的な脂肪酸成分による。絵画の乾性油の特性は、光と酸素に暴露されて固体膜を形成し、酸化と架橋反応により複雑に変化する。
<実験>
サンプルオイル(亜麻仁油、スタンド油、ケシの実油、クルミ油)はそれぞれ顕微鏡のスライドガラスにフィルムとして塗布され、棚で乾燥のために3カ月放置された。
Ramanスペクトル…励起波長785nm、入力パワー1.1mW、直径2μmの領域を解析した。   NIRスペクトル…フーリエ変換型分光器(FT-NIR)を使用、反射測定モードで測定した。 分解能はいずれも4 cm-1、それぞれ128スペクトル (それぞれのサンプルから4か所の違う場所から採取)
<データ解析>
ラマンスペクトルは200-2000 cm-1が測定され、750-1800 cm-1の範囲が解析に使用された。FT-NIR6000-3900 cm-1の波数領域が解析に使用された。
それぞれのデータは別々に前処理され、ラマンスペクトルはベースライン補正後1次微分され、NIRスペクトルは1次微分のみが施された。FT-NIRとラマンスペクトルは、ピークの絶対値を使用することによるサンプルの誤判別を避けるためにベクターノーマライズが行われた。結合した1次微分スペクトル(波数範囲;6000 cm-1~3900 cm-11800~750 cm-1)を使用して主成分分析を行った。
RamanスペクトルとNIRスペクトル別々にPCAを行ったところ、Ramanでは異なったサンプルで共通の傾向が見られたのに対し、NIRでは主にメチレンCH伸縮と変角の結合音の異なった寄与に依存する異なった製造業者のサンプル判別が出来ることが明らかになったが、クルミ油では2つの製造業者の差を判別できなかった。又Ramanスペクトルではクルミ油とけしの実油を完全に区別することが出来なかった。
これらに対し、RamanNIRからの合成スペクトルを使用したPCA解析では各種乾性油判別でき、製造業者の違いを区別できた。
<結論>
乾性油(亜麻仁油、スタンド油、ケシの実油、クルミ油)の種類とその製造業者の判別が、RamanNIRの結合スペクトルを用いることにより大きく改善された。C=C伸縮の基本音(1700-1600 cm-1)とメチレン伸縮と変角の結合音から得られる情報は判別分析の感度と特定能力を改善させた。これら二つの波数域はNIR又はRaman単体では使用できない。異なった波長域を持つ結合スペクトルを使用するPCAはスペクトルからより多くの情報を引き出しより良い解析を可能にした。



2015年8月1日土曜日

<文献検索から>(15)3成分混合物のテラヘルツスペクトルの定量分析へのケモメトリックスの応用


(題名:Chemometrics Applied to Quantitative Analysis of Ternary Mixtures by Terahertz Spectroscopy
著者:J. E. Haddad, F. de Miollis, J. B. Sleiman, L. Canioni, P. Mounaix, and B. Bousquet
出典:Analytical Chemistry, Vol. 88, P4927-4933 
【抄録】
テラヘルツ(T-Hz)波は0.310THz(波長1mm30μm)の電磁波(1THz=1012Hz)である。T-Hz波が持つ低エネルギーの相互作用と色々な物質に伝わる能力はサンプルの誘電体性質を評価することが出来、遠赤外とラマン分光を補完し理解するために効果的である。さらにT-Hz分光技術は分子内、分子間モード等の振動モードの解析のために強力なツールである。T-Hz分光は従来の遠赤外とは異なり、一般的にT-Hzの応答は周囲の分子の集合的な動きに結合するので分子間の多形、光学異性体を判別できる。
T-Hz波の相互作用は非接触で工業における品質制御に適用可能であり、生物学的物質の判別、医用診断にも有用である。さらにT-Hzイメージング、T-Hzリモートセンシングは危険な違法物質を検知することも出来る。
クエン酸、D-果糖、α-乳糖を色々な濃度に混ぜて、ポリエチレンをバインダーとしてプレスして錠剤を作成した。錠剤は400mg320mgがバインダーのポリエチレン残りの80mg3成分が混合されている。透過型T-Hz時間領域分光器によって測定された果糖、乳糖、クエン酸のスペクトルにケモメトリックスを適用した。PCAにより3成分のスペクトルはきれいに分離できた。ANNArtificial Neuron Network 人工知能回路)がPLSの結果と比較するために適用された。果糖、乳糖、クエン酸は、PLSANNそれぞれの濃度測定で0.9%以下のRMSERoot Mean Square Error)を得た。透過T-Hzスペクトルを取り扱うためにケモメトリックスを使うことが出来ることを示した。ケモメトリックスは、T-Hz領域でも工業用アプリケーションの新しいツールであり、T-Hz分光のアプリケーション開発や検量線の変換においてより大きな役割を果たすだろう。















 


















2015年6月8日月曜日

<展示会見て歩記>:(12) 第24回new環境展


24new環境展 開催日:2015526日~29日、参加日:529
会場:東京ビックサイト (地球温暖化防止展併設)


【展示概要】
環境という項目で、ゴミ収集車、バイオマス、廃棄物処理、小型発電、コジェネ、バイオプラスチック、リサイクル等環境に関するものを一堂に集めた展示会。最終日にしては参加者が少なく環境はビジネス規模相対的に小さいのかなという感じを持った。その中で大物はなんといっても再資源化・廃棄物処理のコーナーでコンクリートの破砕機や丸太から木材チップを作る機械等大型の重機械が実演を行っていた。環境展を見学した目的の一つは、分光分析技術が利用できる環境汚染(ガス分析)からプラスチックの判別など多くのアプリケーションがあり、その実情を垣間見ることが出来るかもという期待があった。特に廃プラスチックの判別は分光分析の得意なアプリケーションで、一時期近赤外分光を使用したプラスチック判別機が数社から販売されたこともありその動向も気になった。またバイオマス、バイオプラスチック等にも適用できるのでその応用も注目した。見た限りではある意味で実用的な展示であり、分光分析等の技術を使用しているものはごくわずかであった。バイオマスは木材チップ等の活用、木材チップ製造、油分抽出等が主であり、バイオプラスチックではポリ乳酸を使用した生分解性ポリマーがわずかに展示してあったが、主流は砂糖きびのバイオエタノールからエチレン⇒ポリエチレンを作成使用するものだった。カーボンニュートラルと謳っているが、価格的には化学合成品の2倍近くし、スパーのレジ袋に10%程度混入(残りは化学合成品)して”環境に優しい”と強調するという現実である。またプラスチックの判別も、プラスチックとその他を判別して、焼却(プラスチックと生ごみの混合は焼却されるらしい)するのではなく再生材料にするのが主流らしく現実のところでPP(ポリプロピレン),PE(ポリエチレン)等プラスチックの種類を判別するということはほとんどないというのが現状らしい。PETボトルの表面の包装も金属爪でひっかいてはずし、包装材を風で吹き飛ばすといった選別方法で材料そのものを判別することは現状少ないらしい。それでもポータブルのプラスチック判別機(近赤外分光応用)を展示しているブースがあった。(このブースではLIBSLaser Induced Breakdown Spectroscopy)応用のポータブル形で金属の判別も行っていた。)また大型の廃プラスチック判別装置(フランス製)で近赤外、可視の分光分析機を組み込み判別をReal Timeで行っている物もあり、高級機ではこのような技術が使われていることがわかった。価格の安い組み込み型分光器が出てくればより広く普及するかもしれない。

2015年5月16日土曜日

<展示会見て歩記>:(11)第15回光・レーザー技術展


15回光・レーザー技術展 開催日:201548日~10日、参加日:410
会場:東京ビックサイト 
(高機能フィルム展、高機能プラスチック展、高機能金属展、ファインテックジャパンが併設)


【展示概要】
主な目的は光・レーザー技術展(Photonix2015)で分光器とその要素技術を見ることにあったが、高機能フィルム、高機能プラスチック、ファインテックジャパン(フラットパネル関連)等の方が参加人数が多いように感じた。

Photonix2015:光通信・レーザーが主な展示であるが、光計測・分析機器展も併設(Photonix2015の一コーナーといった位置付け)されていて、日本分光、東京インスツルメンツ他数社が展示を行っていた。分光器としては、やはり小型化、ポータブル化が主流であり、そのための技術要素が展示されていた。近赤外分光分析器、ラマン分光分析器ではその傾向が顕著だが、FTIRでも小型化に対応して従来あまりなかった小型MCT(水銀/カドニウム/テルル)素子等が展示されていた。小型FTIRでは従来熱型素子(TGS :トリグリシンサルファイド等)が主流だが、このような素子が出ることに小型でより高感度測定が可能になると思われる。要素技術としては、サーボモータで制御された高速スキャナー、テーパーファイバー等が新しい素子として目についた。その他にもロッドレンズを使用した光インテグレータ等分光分析機器に応用可能に思える要素技術が散見された。

高機能プラスチック展他:併設された他の展示会は、時間がなく駆け足で通り過ぎてしまったが、その中で注意を引いたのは高機能プラスチック展だった。液晶ポリマー、バイオポリマー(杜仲を原材料としているものもあった)、架橋点が移動するポリマー等、目新しい機能性ポリマーがあり化学構造を制御する高度な技術が各メーカにあると推測される。このようなポリマー開発/製造工程等に分光分析技術を使用してスペクトルを測定、解析することにより新しい知見が得られ、又製品の品質管理等に貢献できるのではと愚考した。

2015年5月7日木曜日

<スペクトルあれこれ>(10)赤外分光とラマン分光(赤外活性とラマン活性)について

赤外分光法は、測定対象の物質に赤外線を照射し、透過(あるいは反射)光を分光することでスペクトルを得て、対象物の特性を知る。一方ラマン分光法では、対象とする物質に光(励起光ν0)を照射し、散乱光の振動数と入射光の振動数の差に対して散乱光強度を測定することでラマンスペクトルを得る。(図10AR-1参照)赤外スペクトルと同様に物質の振動スペクトルが現れる。しかし赤外吸収は、分子振動に伴って双極子が変化する場合に生じ、ラマン散乱は分子の振動により分極率が変化する場合に観測される。各スペクトルピークの相対強度も両者で異なる。ラマンスペクトルでは観測される(ラマン活性)振動モード が、赤外スペクトルでは観測されない、又逆に赤外スペクトルでは観測される(赤外活性)振動モードが、ラマンスペクトルでは観測されない場合がある。その意味ではラマンスペクトルは赤外スペクトルと相補的である。スペクトルを実測すると不活性であるべき波数位置に弱いピークが観測されたりする場合がある。これは赤外/ラマンの活性/不活性が調和振動を基本に考えられて、実際の振動(非調和振動がある)と理論に差があるためと考えられる。




二酸化炭素(CO2)は単純な構造を持ち、両者の違いを説明するのによく用いられる。
10AR-1に振動モードと赤外/ラマンの活性/不活性を示す。表1に示すように対称伸縮振動ν1(1334cm-1)は赤外不活性で、非対称伸縮振動ν(2349cm-1)と変角振動ν(667 cm-1)は、赤外活性となる。

測定したCO2赤外スペクトル例を図10AR-2に示す。対称伸縮振動のバンドにピークは見られない。表10AR-1によればラマンスペクトルでは、対称伸縮バンドのみにピークがあることになる。測定例を図10AR-3に示す。CO2ラマンスペクトルは1334cm-1付近にあるはずだが、そこにピークはなく1285 cm-1,1388 cm-12本のピークが見られる。フェルミはν2の倍振動2ν2の波数がν1に近いので2つの振動状態間の共鳴状態ができるためであるとして説明(フェルミ共鳴)した。このようなフェルミ共鳴がおこるためには,2つの振動状態(上例ではν12ν2)の対称性が等しく,また振動のポテンシャルに非調和性がなければならない(ここでCO2のν2は、調和振動ではラマン不活性だが非調和があり、極僅かな振動があると考える )。同じような現象はCCl4,C6H6,CH3Clなどでも観測されている.
 
                

            
                 

倍音が基本音に対し相対的に無視できるほどの吸収強度を持っていると仮定すると、観測されるバンドの波数は下式によってフェルミ共鳴によって起こるシフトを修正することが出来る。

                 

ここでνは修正された波数、ν1、ν2は観測された波数、ρは二つのバンドの観測された散乱強度の比である。図10AR-3のスペクトルに10AR-1式をあてはめてみる(ρ=0.814) と1337±5.3 cm-1となりほぼ対称伸縮振動ν1に一致した。ラマン分光ではバックグランドに蛍光の影響が出るために、ベースラインを補正してスペクトルを得ることが一般的である。10AR-3もベースライン補正後のデータでありρの値は誤差を含む。
水(H2O)の振動モードも対称伸縮、非対称伸縮、変角の3種を持つが、何れも赤外、ラマン共に活性である。
<参考資料>
1)Introduction to Infrared and Raman Spectroscopy (Third Edition) by N. B. Colthup, L. H. Daly, and S. E. Wiberley , Academic Press Inc. (1990)
2)赤外・ラマン分光法、長谷川編 古川、高柳執筆 講談社サイエンティフィック (2009)
3)近赤外分光法 尾崎・河田編 学会出版センター(1995)