2013年9月3日火曜日

<文献探索から> (4) 自作Webカメラを使用したNチャンネル光ファイバー使用分光器


原題:Home-made N-Channel Fiber-Optic Spectrometer from a Web Camera
出典: Applied Spectroscopy Vol. 66 No.10, 1156
著者:S. Sumriddetchkajorn, and Y. Intaravanne
抄録:
中小企業の教育用、あるいは品質管理用としてWebカメラを使用した低価格、多チャンネルの光ファイバ分光器の可能性を紹介する。キーアイディアはN本の光ファイバーを1列に並べ外部の分散型素子へ入射させて、スペクトル情報を2次元にしたことにある。市販のWebカメラのイメージセンサにプラスチックレンズを通して各チャネルのスペクトル情報を結像させた。この論文では5本の光ファイバーを使用して5チャンネルの分光器を構成しそれぞれのチャネルを標準光で校正した。製作した分光器は455~655nmで動作し、LEDとレーザポインターでピーク波長を調べたところ10.5nm以下の測定誤差で測定可能であった。製作にかかったコストはWebカメラと光ファイバを含め 92.5$だった。分散型エレメントはRainbow SymphonyHolographic Grating (1000/mm,18mm×8mm1.13$。

読後感】
手作りの分光器については、いくつもの作成方法がWeb上に出ている。ほとんどのものが、CCDと回折格子(CDを使ったり、市販のホログラフィックグレーティング)の組み合わせだ。出力はデジカメ(携帯カメラ)の場合が多い。しかし、正論文として投稿発表されたものは少ないと思ったので、どこにポイントがあるのかと疑問に思い読んでみた。基本のアイディアは、複数本の光ファイバをうまく設置して2次元のスペクトル画像をCCD面に結像させたことだと思う。Webカメラを使用したことによりPCへのデータ取り込みが出来るのは便利。校正には6個のLED(Peak波長:465, 507, 568, 591, 629, 639nm)2(532, 655nm)のレーザポインターを使用している。校正の方法もしっかりしているし、出力がデジタルで出てくるのも便利。論文になるのも納得。プラスチックレンズとプラスチックファイバー(コア径1mm)を使用しているため波長範囲が最長655nmになっているが、この部分を変えれば1100nmぐらいまで波長範囲が伸びるのではと思う。当然価格は大幅にアップする。
価格重視の珍しい論文。

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